数ならぬ

理学系のこと、特に数学について書きます。雑学的な知識もまとめていく所存。

タレスの定理の一般化

 タレスの定理は古代ギリシャで哲学者タレスによって証明された、数学史上初めての定理と呼ばれることもある定理である。その主張はこうである。

タレスの定理

円の直径をとる。このとき円上の点と直径の二つの交点を結んでできた三角形は直径を斜辺とする直角三角形になる

ABは直径であるとする。

 証明はベクトル的に行うことができる。

Proof

単位円について証明すればよい。直径をA(-1,0),B(1,0)を結ぶ線分としてとる。単位円周上の点P(X,Y)をとる。単位上にあることによって

 X^2+Y^2=1

 が成り立つ。Pを始点、A,Bを終点としてベクトル\vec{PA},\vec{PB}をとる。このとき、\vec{PA}\cdot\vec{PB}=0を示す。(-1-X,-Y)\cdot (1-X,Y)=-(1-X^2)-Y^2=1-(X^2+Y^2)=0◽︎

 非常に簡単に示せた。ではこれをn次元へと拡張してみよう。

n次元のタレスの定理
n次元球体の直径を一つとる。このとき、球体上の点と球体と直径によってなされる二つの交点を結ぶ各線分は直交する

 未定義語としてn次元の直径がある。これは次のように定義すればよいだろう。

球の直径
n次元球体の直径は球の中心を通り、球によって切り取られる線分である

 さて、一般化したタレスの定理を示そう。

Proof

単位球S=\{x\in \mathbb{R}^n\big||x|=1\}について定理を証明する。直径としてA=\underbrace{(-1,0,0,\cdots,0,0)}_{n-times},B=\underbrace{(1,0,0,\cdots,0,0)}_{n-times}を結ぶ線分をとっても一般性を失わない。

ここで、単位球上の点をPとかく。示すべきことは\vec{PA}\cdot\vec{PB}=0である。P=(x_1,x_2,x_3,\cdots ,x_n)とかく。\vec{PA}\cdot\vec{PB}=(-1-x_1,-x_2,-x_3,\cdots,-x_n)\hspace{1mm}\cdot\hspace{1mm}(1-x_1,-x_2,-x_3,\cdots,-x_n)=-(1-x_1^2)+x_2^2+x_3^2+\cdots +x_n^2=0◽︎

 この議論は逆にもたどれるので、二つの定点と直角をなすような点の集まりは球であるともいえる。