数ならぬ

理学系のこと、特に数学について書きます。雑学的な知識もまとめていく所存。

黄金比の冪乗はフィボナッチの味がする

 黄金比\phi\phi=\dfrac{1+\sqrt{5}}{2}と定義される無理数である。この無理数は方程式x^2-x-1=0を満たす。

さて、このとき\phi^nを考えてみよう。そのままn乗すると計算量が大幅に大きくなるので、\phi^2=\phi+1を利用しよう。n\ge0であることに十分に気をつける。

 まず、

 \phi^3=\phi\phi^2=\phi(\phi+1)=\phi^2+\phi=2\phi+1

が成り立つ。

 ついで

\phi^4=\phi\phi^3=2\phi^2+\phi=3\phi+2

\phi^5=\phi\phi^4=3\phi^2+2\phi=5\phi+3

という等式が導かれる。

 ここでおもむろに\phi^nを一次の形にしたときの、\phiの係数と定数項を並べてみよう。 係数は0,1,1,2,3,5,\cdots、定数項は1,0,1,2,3,5,\cdots

\cdots\cdots

🧐

😮

😁

 何ということだ。フィボナッチ数列再登場である。初登場では階段を童心に帰って登る場合の数で登場したが、今回は黄金比のn乗で現れた。このことをきちんと証明してみよう。証明はもちろん、数学的帰納法を用いる。

黄金比の冪乗にフィボナッチ数

フィボナッチ数列をF_{n+2}=F_{n+1}+F_n,F_{-1}=1,F_0=0と定義すると、n\ge0について、\phi^n=F_n\phi+F_{n-1}が成り立つ

Proof

\phi^0=0\phi+1より、n=0の場合は正しい。\phi^{n+1}=\phi\phi^n=\phi(F_n\phi+F_{n-1})=F_n\phi+F_n+F_{n-1}\phi=F_{n+1}\phi+F_n◽︎

 さて、この定理はx^2-x-1=0を満たすような数に対して成り立つので、\phiではないもう一つの解\bar{\phi}に対しても同じ定理が成り立つ。すなわち

\phi^n=F_n\phi+F_{n-1}

\bar{\phi}^n=F_n\bar{\phi}+F_{n-1}

の二つの等式が導ける。これらを辺々引き算すると、\phi^n-\bar{\phi}^n=F_n(\phi-\bar{\phi})となってF_n=\dfrac{\phi^n-\bar{\phi}^n}{\phi-\bar{\phi}}が導出される。このフィボナッチ数列の一般項のことをビネの公式という。

ビネの公式

F_n=\dfrac{\phi^n-\bar{\phi}^n}{\phi-\bar{\phi}}