三平方の定理とは世界一有名な定理だと勝手に思っているので、説明を省こうと思ったが、やはりの原則によってそのことについて書こうと思う。
が直角である直角三角形
について、
の長さをそれぞれ
とおくと、
が成り立つ
シンプルで美しい、まさしく定理の中の定理というべき命題である。証明はさまざまな情報が知られているので、その中から私が最も好きな証明で示そう。
について点
から
に垂線をおろし、その交点を
と書く。

ここで(ただし、
は相似を表す記号として扱う。相変わらず
を使えない……)が成り立つ。このことは
であることと、
が直角三角形であることにより示せる。
これによって、の長さを
としたときに
が成り立つ。よって、
が成り立つ。
また、もう一つ相似な三角形の組がある。それはと
である。
これによっての長さを
とおいた時、再び比の式
が成り立ち、
がわかる。
ここで、であることによって、
が成り立っているので、整理すると、
が示された
この定理によって示せる命題は多分に存在するが、その中でも最も著しいのは余弦定理である。
余弦定理には実は第一余弦定理と第二余弦定理が存在する。第一余弦定理はそりゃそうだろうというような補題的な立ち位置の命題であり、第二余弦定理が普段我々の触れてきた余弦定理である。
今回は第一余弦定理を使わずに第二余弦定理を示す方針で行こうと思う。これ以降、第二余弦定理を単に余弦定理と呼ぶ。
に対して、
の長さを
とおくとき、
の間の角を
とおくと、

証明は三平方の定理と三角比の定義によってなされる。
と定義して、
の大きさで場合分けする。
のとき

上のような図になっている。から
に垂線を下ろすと、その交点
は
上に存在する。

の長さを
とおく。また
の長さを
、
の長さを
とおくと、
の定義により、
が成り立つ。よって
の長さは図より
また、に三平方の定理を使うと、
が導け、
に三平方の定理を使うと、
であり、変形していくと、
のとき
これは要するに、直角三角形の時であるので、

素直に三平方の定理を使うと、となる。また、定義より
となるので、これを三平方の定理と合わせると、
となって余弦定理の式が成り立つ。
のとき

この図でを求める。
に三平方の定理を使うと、
は
の長さの二乗と
の長さの二乗の和に等しい。
の長さを
を用いて表すと、
となって、
の長さは
に等しい。これら二つの値を二乗して足すと、
余弦定理の使いどころは、主に二つある。
一つは、二辺の長さとその間の角がわかっているときにもう一つの辺の長さを求めること。
もう一つは辺の長さが全てわかっているときに、角度()の情報を辺の長さの情報に置き換えること。
どちらの用途も非常に大切であるが、特に二つ目はヘロンの公式の証明で用いたりと、種々の定理の証明に非常に活躍する。