の定理というものがある。この定理は階乗についての合同式で、次のような形である。
を素数とする。
証明は逆元の性質を使ったものになる。
証明に本格的に入る前に以下の補題を示す。
この補題をうまく用いるとの定理は簡単に示される。この補題の主張しているのは自乗して
となるような数は
のみであるということであるので、逆に言えば他の数では逆元は自身と一致しない。
について法を
とした合同式を考える。
の時、題意の合同式は満たされるので、
を奇素数として考えても良い。ここで、
以外の数は他の数と対消滅する。
の例がわかりやすい。
下線部は全てに
を法としたとき合同であるので
よってこれを一般化した議論により、
これをさらに一般化したのが次の定理である。
を奇素数とする。このとき
を
と互いに素な全ての正整数の積と定義すると、正整数
に対して
定理を証明する前に次の補題を証明する。
を奇素数、
を正整数とする。このとき、
この補題はの定理の証明中に示した補題の素数冪への一般化となっている。この補題を使うと一般化した
の定理は簡単に示される。
素数冪についてのの定理を示す。
について、この積を、自身とは異なる逆元を持つ元と、自身を二乗すると
となる元の積にわけて考える。
ここで、自身とは異なる逆元を持つ元の逆元はもともとの元に一致するので、互いに打ち消しあってこの部分の積はとなる。
自身を二乗するととなる元は補題によって
しか存在しないので、合同式は
となる。
この二つの事実を掛け合わせると、がわかる
証明としては意外と単純である。打ち消しあってとなる部分が大きかったのがこの成功の立役者である。あとは他の残った二元の合同式を使えば簡単に示される。