数ならぬ

理学系のこと、特に数学について書きます。雑学的な知識もまとめていく所存。

ヨットにする?それともヤッツィーにする?

 ヨットもしくはヤッツィーというゲームがある。このゲームはサイコロを五つ使って遊ぶ、ちょっとした運ゲーである。

 出目の状態で役が一つ決まり、役に応じて点数をもらうことができるが、一度点数を得るのに使った役はそのゲーム中はもう使うことができない。

 また、サイコロは不要な目を選んで二回まで振り直しができる。合計三回振ったらターンは終了。振り直さなくてもターン終了を宣言することができる。

 最後に点数が高かった人の勝ち。

 

 ヤッツィーの楽しいところは、運次第で全てを破壊できるところだ。

 ヤッツィーのつまらないところは運次第で全てを破壊されることだ。

 そしてヤッツィーにはまるでチンチロのように特殊な役がある。

 SストレートLストレートフルハウススリーダイスフォーダイスヤッツィーの六つである。

 これらの役は点数が決まっていることが多く、特にヤッツィーは極めて稀だが、出してしまえばほぼゲームがウイニングランになるという壊れ役である。そりゃ、ゲームの名前を冠しているのが一番強いに決まっている。

 そしてこれらの役が一度目のダイスロールで出現する確率は計算できる。計算できるんだったら、知っておいて損はあるまい。もしかしたら、ヤッツィーをデスゲームでやらされる日が来るかもしれない。そんな時に役の希少性がある程度わかっていればゲームを有利に進められるはずだ。

 

 仮定として数学的に飽きるほど見た仮定をおく。

同様に確からしいことの仮定
サイコロの目は1から6までの整数であり、どの目も出る確率は等しい

まず、そもそもこれらの役がどのような役かを知らないと確率はどうあがいても計算できないので、それを説明しておく。次のような役である。

Sストレートは四つ以上のサイコロが階段になっている事象

Lストレートは五つのサイコロが階段になっている事象

フルハウスは三つの出目が同じで、その他二つの出目も同じである事象

スリーダイスは三つ以上のサイコロが同じ目を出す事象

フォーダイスは四つ以上のサイコロが同じ目を出す事象

ヤッツィーは五つ全てのサイコロが同じ目を出す事象

役の出目例

1,2,3,4,5と出た場合、Sストレートでもあり、Lストレートでもある

3,3,3,5,5と出た場合スリーダイスと解釈可能であり、フルハウスとも解釈可能である

6,6,6,6,6はスリーダイスともフォーダイスとも、ヤッツィーとも取れる

 さて、これら六つの役が一度のダイスロールで出現する確率、以降これを単に出現率と呼ぶ、を次のように文字でおく。

文字の定義

p_{S}=Sストレートの出る確率

p_{L}=Lストレートの出る確率

p_{Full}=フルハウスの出る確率

p_{T}=スリーダイスの出る確率

p_{F}=フォーダイスの出る確率

p_{Y}=ヤッツィーの出る確率

 簡単そうなのは、同じ出目系の役であるので、まずそれらの出現率を求める。

p_{T},p_{F},p_{Y}の値
p_T=\dfrac{23}{108},p_F=\dfrac{13}{648},p_Y=\dfrac{1}{1296}

 見るからに面倒そうな値である。証明をつけていこう。

Proof

p_Yを求める。これは1,1,1,1,1から6,6,6,6,6までの6通りがあり得る。全体の事象は6^5通りなので、p_Y=\dfrac{6}{6^5}=\dfrac{1}{6^4}=\dfrac{1}{1296}

 

続いてp_Fを求める。次の二パターンが挙げられる。

I\hspace{2mm}四つの出目が同じで、もう一つは異なる

I\hspace{-1mm} I\hspace{2mm}五つの出目が同じ

Iの方から確率を求める

同じとなる四つの出目の選び方は6通りある。それとは異なるもう一つは5通り存在する。よって30通りの出目の数のパターンが存在する。また、この出目の時の並び替えの総数は5通りである。よって150通りのパターンが存在する。

I\hspace{-1mm} Iの確率を求める

非常に単純に考えれば良い。出目の選び方は6通りである。これにて終了

二つの事象II\hspace{-1mm} Iは排反であるので足し算して良い。よって156通り。

これを全事象の場合の数で割ればよく、\dfrac{156}{6^5}=\dfrac{26}{1296}=\dfrac{13}{648}

 

最後にp_Tを求める。上でやった通り、少々面倒な場合分けが存在する。

これは次の四通りに分類できる。

I\hspace{2mm}三つの出目が同じで、残った二つはこの出目と異なり、二つも互いに異なる

I\hspace{-1mm} I\hspace{2mm}三つの出目が同じで、残った二つの出目はこの出目ではないが、同じ

I\hspace{-1mm} I\hspace{-1mm} I\hspace{2mm}四つの出目が同じだが、残った一つの目はこの目と異なる

I\hspace{-1mm} V\hspace{2mm}五つの出目が同じ

I\hspace{-1mm} I\hspace{-1mm} II\hspace{-1mm} V\hspace{2mm}は合わせてフォーダイスのことであるのですでに求められている。よって以降は残るII\hspace{-1mm} Iのパターンに絞って証明をつける。

Iのパターンでは三つのサイコロの出目となる数は6通り選べる。この後に残った5つから2つを取り出して異なる出目にする作業がある。よって 6\times {}_5C_2=60通りの出目が存在しうる。この出目の並び替えは\dfrac{5!}{3!1!1!}=20通り存在するので、1200通り。

I\hspace{-1mm} Iでは三つのサイコロの出目となる数は6通り選べて、残りの二つのサイコロに割り当てる出目は5通り選べるので、30通りの出目が存在する。これを並び替える場合の数は\dfrac{5!}{3!2!}=10通り存在する。よって300通り。

これら四つのパターンを足し合わせて、1200+300+156=1656通り。これを全事象で割るので、p_T=\dfrac{1656}{6^5}=\dfrac{276}{6^4}=\dfrac{46}{216}=\dfrac{23}{108}◽︎

 ちょっと分数だと分かりにくいので%表記で書き直そう。すると以下のような確率であることがわかる。

%表記したもの

p_T=21.29\cdots %

p_F=2.006\cdots %

p_Y=0.0771\cdots %

 ヤッツィーの出る確率は相当低いということだ。また、スリーダイスが出る確率は思っているよりもはるかに高いことがわかる。つまり、スリーダイスは簡単に出るので、保険として残しておくのが良いかもしれない。

 フルハウスの出現確率は上の議論から簡単に導ける。具体的にはスリーダイスのI\hspace{-1mm} II\hspace{-1mm} Vを参照する。

p_{Full}
p_{Full}=\dfrac{17}{432}
Proof

I\hspace{-1mm} II\hspace{-1mm} Vはそのままフルハウスの確率に適用できる。これら二つの事象の場合の数の和は300+6=306通り。これを6^5で割ると、p_{Full}=\dfrac{306}{6^5}=\dfrac{17}{432} ◽︎

 これも%表記すると以下のようになる。

p_{Full}の%表記
p_{Full}=3.935\cdots%

 さて、最後に曲者っぽいストレート系統について考えていく。とは言っても場合分けが少々面倒なだけである。

p_S,p_Lの値

p_S=\dfrac{25}{162}

p_L=\dfrac{5}{162}

Proof

p_Lの方が明らかに簡単なので、そちらから求める。Lストレートは五つの目が階段状になっているので、1,2,3,4,52,3,4,5,6のパターンの二つに分かれる。どの二つも列の並び替えは5!通りなので、2\times 5!が求める場合の数である。これを全事象で割ると、\dfrac{2\times 5!}{6^5}=\dfrac{5\times 4\times 2}{6^4}=\dfrac{40}{1296}=\dfrac{5}{162}

 

続いてp_Sを求める。こちらの場合わけが面倒である。

I\hspace{2mm}1,2,3,45ではない出目

I\hspace{-1mm} I\hspace{2mm}3,4,5,62ではない出目

I\hspace{-1mm} I\hspace{-1mm} I\hspace{2mm}2,3,4,5と適当な一つの出目

II\hspace{-1mm} Iは対称性があるのでIだけ求めれば良いことに注意する。

Iを求める。場合分けの中での場合分けに注意する

残り一つの出目が6だった場合、並び替えには5!通り存在する。残り一つの出目が1,2,3,4だった場合、並び替えには\dfrac{5!}{2!}通り存在する。これを足し合わせると5!+4\times\dfrac{5!}{2!}=3\times 5!=360通り。

I\hspace{-1mm} I\hspace{-1mm} Iの時には残り一つの出目が2,3,4,5の時には\dfrac{5!}{2!}の並び替えの場合の数がある。1,6の時には5!通りの並べ替えがあるので、これらを足し合わせると、4\times\dfrac{5!}{2!}+2\times 5!=4\times 5!=480通り。

以上三つのケースを足し合わせると360+360+480=1200通り。これを全事象の数で割ると、\dfrac{1200}{6^5}=\dfrac{200}{1296}=\dfrac{25}{162}が導かれる◽︎

 これまた%表記で。

p_S,p_Lの%表記

p_S=15.432\cdots%

p_L=3.086\cdots%

 今更気づいたが、Sストレートの確率がSストレートみたいになっている。なんというか、とても自己言及的だ。

 これまでに得た役の出現率をまとめて表示すると以下のようになる。

六役の出現率

p_T=\dfrac{23}{108}=21.29\cdots%

p_S=\dfrac{25}{162}=15.432\cdots%

p_{Full}=\dfrac{17}{432}=3.935\cdots%

p_L=\dfrac{5}{162}=3.086\cdots%

p_F=\dfrac{13}{648}=2.006\cdots%

p_Y=\dfrac{1}{1296}=0.0771\cdots%

 意外にもSストレートよりもスリーダイスの方が出やすいのだ。

 これであなたもヤッツィーマスター!!

 確率を知ったからゲームを優位に進めやすくなるわけではないことに注意。相手に「こいつ、できる」と思わせてびびらせましょう。