残暑が終わったと思ったら急に冷え込み、秋なのに秋にはあらねどと言った感じの天候である。近くの植木通りに植えられた銀杏が実を落としてそれが脳天に直撃したことをこの場で報告しておく。
この話は今回の話題に全く関係ない。本題に入ろう。中学生の頃、次のような公式を習うことになっている
この公式は実際には全く覚える必要はないが、しかし覚えていた方が計算や式の整理などが素早くできて得である。一応証明も載せておこう。分配法則が理解できていれば頗る簡単である。
上の式だけ示す。下の式は上の式を
わざわざ掛け算の順序を一時的に交換しなかったのには理由がある。それはこの定理の一般化である二項定理を理解するために重要なポイントが潜んでいるからだ。
ここで、組み合わせ論の概念を導入しよう。
この概念を導入することで今後の議論がしやすくなる。さて、一般化ということで次のような問題を考える。
いきなり乗で考えるのはちょっと荷が重いので、
乗くらいを考えてみよう。すると、次のような公式が得られる。
この証明によって、の展開について考察ができる。
の展開は
個の
から一つずつ文字を選ぶことで達成できる。であるので、
などは
のように展開できる。掛け算の交換法則を使うと項をいくつかの種類にまとめられる。は異なる
つのものから
つ選ぶ時の組み合わせで係数
が導ける。
の係数は異なる
つのものから
つ選ぶときの
という場合の数に等しい。
このように、という項の係数は
個ある
から
を
個選ぶ組み合わせ
に等しい。
を計算できないと意味がないので、
を計算する方法を考える。次のようにステップを踏んで計算していく。
のように定義する。より形式的には
と定義したを階乗と呼ぶ
階乗の組み合わせ的な意味を考える。これは異なる個のものを
個抜き出して並べる時の並べ方の総数である。たとえば机の上 にりんご、バナナ、ぶどうがあったとして、これを一列に並べることを考える。

このとき、通りの並べ方があることを説明しよう。
りんごを乗っける一つ目の皿は三通り存在する。バナナを乗っける二つ目の皿は二通りである。ぶどうにはもう一つしか皿は残されていない。なので一通りである。よって通り
また、果物を皿に乗っけると考えるのではなく、皿に果物を割り当てるような気持ちでもこの場合の数は導けて、こちらの考え方の方が次の順列には対応しやすい。
一つ目の皿に乗っける果物は三種類ある。二つ目の皿に乗っける果物は二種類ある。最後の皿に乗っける果物は一種類しかない。よって通り
続いて、この階乗の一般化となる順列の総数を見ていこう。先ほどは個の異なるものがあったら、それを全て並べていたが、今度はそこから
個だけ取り出して並べてみることにする。
階乗の意味合いから考えるに、次の定理が成り立つことは妥当である。
これは
少し言葉を端折ったので補足をしておく。の定義より以降の積は次のように導かれる。
個の中から一つ選ぶときの場合の数は
通り
その後に個から一つ選ぶときの場合の数は
通り
個から一つ選ぶときの場合の数は
通り
積の法則により、これらを掛け合わせると順列が得られる。
この順列からようやく二項係数が求められる。次の定理が成り立っている。
証明の取り出し方は次の例で理解できる。
まず、定義からこれは
さらに、定理を組み合わせることで以下の系がえらえる。
定理
以上でこの記事を終了する。と思っていたのか。一般化が二項定理には存在するから、それだけ紹介する。証明は、と思うかもしれないが、なかなか大変なので、今回は見送りという形で
上の式は本当に美しい式だと思う。この式の詳細な読み方はまた後日学ぶが、たとえばなんかが二項定理と似たような形で展開できるというのは驚きの事実である。