数ならぬ

理学系のこと、特に数学について書きます。雑学的な知識もまとめていく所存。

確率漸化式の小技——一般項の予測——

 論述では使えないが、ただ確率漸化式の一般項を書くような問題に出会ったときに使える小技を紹介しよう。例えば次のような問題があるとする。

 

確率の問題
n回どの目も等確率で現れるサイコロを投げたとき、1が出た回数が偶数回となるような確率\hspace{1mm}p_n\hspace{1mm}を求めなさい

 

 よくある確率漸化式の問題である。一般的な解法から述べる。

 

解答
p_1=\dfrac{5}{6}である。漸化式を立てる。p_{n+1}=\dfrac{5}{6} p_n+\dfrac{1}{6} (1-p_n)=\dfrac{2}{3} p_n +\dfrac{1}{6}である。この漸化式を解く。特性方程式もどきを解くことで、\dfrac{1}{2}を両辺から引き算すれば良いことがわかる。よってp_{n+1}-\dfrac{1}{2}=\dfrac{2}{3} p_n -\dfrac{1}{3}=\dfrac{2}{3} \bigg(p_n -\dfrac{1}{2}\bigg)
ここからp_n-\dfrac{1}{2}=\bigg(\dfrac{2}{3}\bigg)^{n-1}\bigg(\dfrac{5}{6}-\dfrac{1}{2}\bigg)=\bigg(\dfrac{2}{3}\bigg)^{n-1}\bigg(\dfrac{1}{3}\bigg)がわかる。よってp_n=\dfrac{1}{2}+\bigg(\dfrac{2}{3}\bigg)^{n-1}\bigg(\dfrac{1}{3}\bigg)

 

 この方法が一般的だが、実は特性方程式を解かずとも帰納的に数列を解けるメソッドがある。役に立つか立たないかは知らない。

 

解答
問題のp_n\displaystyle\lim_{n\to\infty}p_n=\dfrac{1}{2}を満たすことが予想される。であるのでp_n-\dfrac{1}{2}0に収束する列となって扱いやすそうである。帰納的に列を予想する。

 

p_1=\dfrac{5}{6},p_2=\dfrac{25}{36}+\dfrac{1}{36}=\dfrac{13}{18},p_3=\dfrac{125}{216}+\dfrac{15}{216}=\dfrac{35}{54}

 

ここから

 

p_1-\dfrac{1}{2}=\dfrac{1}{3},p_2-\dfrac{1}{2}=\dfrac{2}{9},p_3-\dfrac{1}{2}=\dfrac{4}{27}

 

上の列に注目すると\hspace{1mm}\dfrac{2}{3}\hspace{1mm}がかけられていっていることに気づく。よって

 

p_n-\dfrac{1}{2}=\bigg(\dfrac{2}{3}\bigg)^{n-1}\bigg(\dfrac{1}{3}\bigg)が予想できる。

 

 漸化式の解き方を忘れたときにどうぞ。
ただ、この解法を覚えるくらいならちゃんと漸化式を勉強した方がいいと思います。(個人の感想です)