数ならぬ

理学系のこと、特に数学について書きます。雑学的な知識もまとめていく所存。

定理紹介・有理根定理

 因数定理を使って因数分解したい。でも有理数の解がすぐに見つけられない\cdots\cdots

 ある数の無理数性を証明したい。その無理数が満たす方程式はわかってるんだけど\cdots\cdots

 以上のような悩みを抱えたあなたに、はい、これ一本で全て解決!

 

有理根定理
整数係数のn次方程式a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots+a_1x+a_0=0,a_n\ne0について既約な有理数\dfrac{p}{q}が存在するならば、qa_nの約数であり、pa_0の約数である

 

Proof
整数係数n次方程式a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots+a_1x+a_0=0に既約分数x=\dfrac{p}{q}を代入すると、a_n\dfrac{p^n}{q^n}+a_{n-1}\dfrac{p^{n-1}}{q^{n-1}}+\cdots+a_1\dfrac{p}{q}+a_0=0が導けて、q^nを両辺にかけると、a_np^n+a_{n-1}p^{n-1}q+\cdots+a_1pq^{n-1}+a_0q^n=0と変形できる。

 

これを移項すると、a_np^n=-a_{n-1}p^{n-1}q-\cdots-a_1pq^{n-1}-a_0q^nが導ける。右辺はqの倍数であり、pqと互いに素なので、qa_nを割り切る。
よって、qa_nの約数。
また、a_0q^n=-a_np^n-a_{n-1}p^{n-1}q-\cdots-a_1pq^{n-1}と変形すると、右辺はpの倍数となり、p,qは互いに素なのでpa_0を割り切る◽

 

 無理数性の証明に使うのは多くの場合は以下の系だろう。

 

最高次数の係数a_n1であるのなら、その方程式のもつ有理数解は整数解のみ。

 

・ご利用例

問題
方程式2x^3+x^2-4x-2=0を解きなさい

 

解答
有理根定理によりこの方程式の有理数解の候補はx=\pm2,\pm1,\pm\dfrac{1}{2}6つであることがわかる。
順々に代入していけば、x=-\dfrac{1}{2}がわかる。因数定理によって方程式を因数分解すると、(2x+1)(x^2-2)=0が導かれる。
よってx=-\dfrac{1}{2},\pm\sqrt{2}

 

問題
\sqrt{2}+\sqrt[3]{2}無理数であることを証明しなさい

 

解答
x=\sqrt{2}+\sqrt[3]{2}とおく。移項して三乗すると、(x-\sqrt{2})^3=2となる。これを展開して整理すると、x^3-3\sqrt{2}x^2+6x-2\sqrt{2}-2=0が導ける。
ルートの入った項を右辺に追いやりx^3+6x-2=3\sqrt{2}x^2+2\sqrt{2}
二乗してやると
(x^3+6x-2)^2=(\sqrt{2}x^2+2\sqrt{2})^2x^6-6x^4-4x^3+12x^2-24x-4=0という6次方程式が得られる。

 

により、この方程式が有理数解を持つのならば整数解のみである。\sqrt{2}+\sqrt[3]{2}有理数であると仮定する。この数はx^6-6x^4-4x^3+12x^2-24x-4=0を満たすので、整数であることがわかる。
数値計算をしてみると簡単にわかることだが、\sqrt{2}+\sqrt[3]{2}は整数ではない。よって矛盾◽