数ならぬ

理学系のこと、特に数学について書きます。雑学的な知識もまとめていく所存。

2025-01-01から1年間の記事一覧

ペラン数列と素数判定法

以前プラスチック数の文脈でペラン数列という数列を紹介した。 ペラン数列の定義 実はペラン数列は素数の判定法として使うことができる。素数であれば必ず満たされる条件がペラン数列によって構成できるのである。 ペラン数列の素数項 を素数とする。このと…

対称式の基本定理

対称式とは、変数の入れ替えに対して不変な多変数多項式・単項式のことである。 対称式の例 とすると、が成り立つためは対称式である。 対称式ではない例 はであるので、対称式ではない 変数が互いに平等であるのが対称式である。変数の個数がであるような対…

中線定理の証明

中線定理は三角形の中線の長さを高速に求める公式である。 中線定理 のから下ろした中線の長さは辺の長さをそれぞれとしたとき、によってを計算できる 中線定理の図 余弦定理を二つの三角形に対して使う。上の図を考える。この時であるためとなることに注意…

cos(2π/5)を求める

を求める。 の値 と置くことで方程式を立てる。が成り立つことはであることからわかる。 よって方程式を解けば良い。チェビシェフ多項式によってとが導かれるので、という三次方程式を解くことに帰着される。 の解の一つとしてがあることはであることから自…

レピュニット数が2,5以外の全ての素因数を含むことの2通りの証明

レピュニット数は進法でが並んでいるような数である。 レピュニット数の定義 番目のレピュニット数はと表される 単位()となる数を繰り返し()ているからレピュニット()数というのである。 を進法で表すと、と書ける。このような数を倍してみるとそれは明らか…

線形補間の誤差

ある関数上の離散的な点を取ってそれを直線で結んで元の関数を近似することを、線形補間という。 線形補間の例 この時、結ばれる線の幅を小さくしていくことで、元の関数に十分に近づけられるというのは実感されることだと思うが、これがどれくらいの誤差で…

セッケンは弱塩基性である。

油脂から作られる石鹸は塩基性である。これは共役塩基の概念と石鹸の構造式を知っていればすぐにわかることである。 そもそもセッケンとはどういったものかを知る必要がある。セッケンとは油脂を塩基性のとともに熱することで作られる高級脂肪酸のナトリウム…

三角形の内側にある点と面積比

三角形の内部にという点を配置することを考える。すなわち下の画像のような図を考える。 三角形の内点 この時、が満たされているとする。この時実は三角形の面積について、が成り立っている。 三角形の内点の作る三角形の面積比 が満たされているのならば、 …

空気抵抗を考慮した斜方投射

斜方投射を空気抵抗を考えた上でどのような軌跡を描くのか検討してみる。 空気抵抗の式 斜方投射する物体に働く空気抵抗は正の定数を用いてと書くことができる 系を具体的に言葉にする。投射する質量の物体は原点に存在するとして、初速度はとする。空気抵抗…

半減期の数理

同位体だとか、化学反応の反応物の消失する速度というのは同一の規則をもつ。その規則とは、現在存在するものの個数の何乗かに比例して、減り方が決まるということである。今回は個数に比例する時を考える これを微分方程式という道具を使って表すと、次のよ…

n次元球の体積公式

次元球の体積 を次元球の体積とする。このとき、 次元球の体積を求める。まずそもそも次元球とは何かを考える。これは次のような集合である。 原点からの距離が以下であるような点を集めたものがであり、これを原点を中心とした半径の次元球と呼ぶ。を仮定す…

二項定理まとめましたの補足

この記事の補足として多項定理というものを示す。次のような定理が成り立つ。 多項定理 右辺がごちゃごちゃしていて数式の意味を汲み取りづらいので日本語で読んでみる。和がであるような非負整数の全ての組み合わせを渡ってを足していく。 この公式は二項定…

カントールの対角線論法

カントールはある集合よりも大きい濃度を作り出すことができることを証明した。 カントールの定理 カントールはこの定理を証明するために巧みな方法を用いた。それが対角線論法である。実際の証明を見ればわかる。 全単射写像が存在しないことを示せば良い。…

トレミーの定理

実は円に内接する四角形には対角線の長さと辺の長さの等式が成り立つ。 トレミーの定理 円に内接する四角形に関して、 トレミーの定理の適用できる図 対角線を辺の長さで表す。から求めてみる。余弦定理により等式が成り立つ。また円に内接する四角形につい…

ウォリス積分とウォリスの公式

三角関数で面倒なのが乗の積分である。ということでこれを素早く計算したい。そこで、と定義して、この積分を計算する。 積分に対して漸化式を作り出して、逐次的に値を求める。 ウォリス積分の漸化式 をとそれ以前の項で表せたら成功である。 を移項すると…

ホイートストンブリッジの公式

ホイートストンブリッジがなぜ抵抗の値を求められるのかを説明しよう。 まず初めに、ホイートストンブリッジとは以下のような電気回路である。 ホイートストンブリッジの回路図。最近電気回路をスライドで描くのに慣れてきた。 は全て抵抗値を表している。ま…

完全順列でプレゼント交換を成功させよう

クリスマスも思ったより近い。わたしは今後することはないだろうが、プレゼント交換会というものがある。これは全員が各々独立に選んだプレゼントをシャッフルして返却することで行われる。各個人には高い確率で自分の選んだプレゼントとは異なる他人からの…

三角形では数学の重心は物理の重心に一致する

三角形の数学的な定義の重心と物理学的な定義の重心は一致することを証明する。 まずは各定義に目を通してみよう。 重心の数学的な定義 各頂点から対辺に対して下ろした三つの中線の交点を重心と呼ぶ。 重心は常に存在するかと疑問に思われるかもしれないが…

ₙC₂=n(n-1)/2の変わった証明

直接の数え上げをしてみる。 の値 有限集合の部分集合となる元集合の数を数える。この集合の個数はを満たすの個数に等しい。二つの元を選ぶ場合の数は二つの元の順列の元の位置による違いを無視するので、大小関係も勝手に定めてよいためである。とを固定し…

三平方の定理があるなら四平方の定理があるのが人情

三平方の定理があるのならば、四平方の定理があるのではないかと勘ぐりたくなるのが人のさがである。実際に四平方の定理は存在する。デカルト・グアの定理と呼ばれることもある。 四平方の定理は、三平方の定理の直角三角形という部分を直角三角錐、辺の長さ…

テイラー展開までの道筋ガイド

テイラー展開とは、ある種の関数を多項式の和で表す方法であり、テイラー展開することで直観を廃した三角関数などの定義を行うことができて、指数関数や三角関数などの複素数への拡張を行うことができる。 インターネット上でも多く解説などが乗っているので…

数学的帰納法の使い方

数学的帰納法は自然数論で一般の変数の命題を証明する上で非常に重要な、生命線とも言い換えて良い原理、もしくは定理である。その原理は次のように書ける。 数学的帰納法 自然数全体に関する命題に対して、が真でからを導出できるとき、では真である。 数学…

絶対値の性質

絶対値は入力した数の符号を無視する関数である。形式的には絶対値は次のように定義される。 絶対値の定義 絶対値は次のような性質を満たす。 絶対値の性質 のとき、とにより題意は正しい。またのときにはでより正しい。対称性よりのときは示される。のとき…

エルミートの恒等式の証明

床関数に対してエルミートの恒等式と呼ばれる等式が成り立つ。 エルミートの恒等式 で示す。手始めにを区間で場合分けする。としてと不等式で値を制限する。このとき、は当然である。を示す。不等式の最右辺に注目してみるとこれはよりも小さい。また最左辺…

コーシーの関数方程式

関数方程式、という数学のジャンルがある。これは読んで字の如く関数がある方程式を満たしている時にその関数を全て求める、というものであり、数学オリンピックなどでよく出題されている印象がある。微分方程式なども関数方程式のジャンルであるので、その…

格子点を数えて1+2+3+……+nを求める方法

という平面上の領域の格子点を数え上げる。格子点とは成分が全て整数であるような点のことである。 さて、考えている領域をとおき、この中に含まれる格子点の集合をと表記する。に含まれる格子点の個数を数え上げる。これは簡単である。なぜならは長方形領域…

微分の公式の証明

偏微分などはふくめず、常微分に限定する。 微分の性質 開区間上で微分可能な二つの関数について 和の方は非常に簡単に証明できる。微分の定義に立ち返る。ここでの微分可能性が役に立つ。 積のほうを示す。やや難易度は上がる。定義から証明することは変わ…

ばさばさと項が消えていくことの一般化

次のような形の級数を望遠鏡和と言う。 望遠鏡和 のように、与えられた数列について隣接する項の差の和のことをの望遠鏡和という 望遠鏡和は簡単に計算できる。 望遠鏡和の定理 これは簡単な帰納法によって示せる。 のとき左辺は、右辺もとなって正しい。の…

名前に同じ漢字が入っている人の組

名前(名字ではない)に同じ漢字が使われている人を見つけたい。誰と誰の組でもいいから、そういう奇跡の二人を見つけてみたいという奇妙な欲求が生まれたとする。このとき、かならずその奇跡は奇跡ではなく必然となり得ることを示す。 まず考えるべきは人の名…

カクテルグラスとイドラ

カクテルグラス、という器がある。潰れた円錐の支えと液体の入る底の抜けた逆円錐を細い棒がつないでいるような構造をとっている。 カクテルグラスの中のオレンジジュース ここに感覚とのずれが起こる。余り認知学に詳しくないが、経験則から言えば、人間は…