数ならぬ

理学系のこと、特に数学について書きます。雑学的な知識もまとめていく所存。

2進法から16進法への変換とその一般化

 例えば2進法で1001011011101010_{(2)}という数が与えられたとする。このとき、この数を見やすさのために16進法へ変換したい。

 実はこの変換の方法はとてもシンプルである。

2進法から16進法への変換例
1001011011101010_{(2)}を後ろから4桁ずつに区切る。要するに1001/0110/1110/1010_{(2)}というようにする。区切った各部分で2進数表記から16進法表記に変換する。1001_{(2)}\to9_{(16)},0110_{(2)}\to6_{(16)},1110_{(2)}\to E_{(16)},1010_{(2)}\to A_{(16)}というように変換できるので、96EA_{(16)}1001011011101010_{(2)}と同じ数を示している

 この高速な変換は何が効いているのかというと、やはり16=2^4が成り立つことだろう。この式が成り立つことで4桁ごとに2進数がまとめられるからこの変換が成り立つわけである。

 実際に2,16進法の定義に従ってこの変換を見ていこう。

 まず2進法の定義から1001011011101010_{(2)}=2^{15}+2^{12}+2^{10}+2^9+2^7+2^6+2^5+2^3+2^1とかける。右辺を2^{4n}でくくる変形をすると2^{12}(2^3+2^0)+2^8(2^2+2^1)+2^4(2^3+2^2+2^1)+2^0(2^3+2^1)

 これは2^4=16より16^3(2^3+2^0)+16^2(2^3+2^1)+16(2^3+2^2+2^1)+16^0(2^3+2^1)というように16進法の定義の形に書き換えられる。

 そのため、4桁ずつ区切って各々16進法に変換という荒技が成立するのである。

 これを一般化するとl進法の数をl^n進法に変換したい時にはl進法の数をn桁ずつに区切って各々l^n進法に変換すればよいことがわかる。

不等式といえば!!Pedoeの不等式!!嘘!!

 三角形について成り立つ不等式はいくつかあるが、今回は二つの三角形を扱う不等式を見てみようと思う。

ぺドーの不等式
二つの三角形\triangle ABC,\triangle DEFについて三角形の辺の長さをa=BC,b=CA,c=AB,d=EF,e=FD,f=DEと置いて、面積をS,Tと置くと、d^2(b^2+c^2-a^2)+e^2(c^2+a^2-b^2)+f^2(a^2+b^2-c^2)\ge 16STが成り立つ。等号成立条件は\triangle ABC\triangle DEFが相似であること

Proof

二つの三角形の面積はヘロンの公式によって、16S^2=(a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c),16T^2=(d+e+f)(-d+e+f)(d-e+f)(d+e-f)というように書き表せる。16S^2の等式の右辺を展開すると、S^2=2a^2b^2+2b^2c^2+2c^2a^2-a^4-b^4-c^4となる。さて、コーシーシュワルツの不等式を適用することで、16ST+2a^2d^2+2b^2e^2+2c^2f^2\leq\sqrt{(4S)^2+2a^4+2b^4+2c^4}\sqrt{(4T)^2+2d^4+2e^4+2f^4}という不等式\starが成り立つ。このとき、\sqrt{(4S)^2+2a^4+2b^4+2c^4}に展開した16S^2を代入すると、\sqrt{a^4+b^4+c^4+2a^2b^2+2b^2c^2+2c^2a^2}=a^2+b^2+c^2

 このとき対称性によって\sqrt{(4T)^2+2d^4+2e^4+2f^4}でも同じようなことが起きて、不等式\star16ST+2a^2d^2+2b^2e^2+2c^2f^2\leq(a^2+b^2+c^2)(d^2+e^2+f^2)と同値変形できる。

 不等式の最右辺を展開して整理すると、16ST\leq -a^2d^2+a^2e^2+a^2f^2+b^2d^2-b^2e^2+b^2f^2+c^2d^2+c^2e^2-c^2f^2=d^2(-a^2+b^2+c^2)+e^2(a^2-b^2+c^2)+f^2(a^2+b^2-c^2)と変形できる。等号成立条件について考えると、この不等式はコーシーシュワルツの不等式から導かれたものなので、ベクトル(4S,\sqrt{2}a^2,\sqrt{2}b^2,\sqrt{2}c^2)(4T,\sqrt{2}d^2,\sqrt{2}e^2,\sqrt{2}f^2)が平行であればその時に限って等号が成立する。つまりある実数kが存在して4T=4kS,d^2=ka^2,e^2=kb^2,f^2=kc^2と書ければよい。これを変形するとk=\dfrac{T}{S}=\dfrac{d^2}{a^2}=\dfrac{e^2}{b^2}=\dfrac{f^2}{c^2}が従う。これは\triangle ABC,\triangle DEFの相似比が\sqrt{k}であることと同値である◽︎

 この不等式において、例えばd=e=f=1と置いてみる。すると系として一つの三角形に関する不等式が導かれる。

ヴァイツェンベックの不等式
\triangle ABCについてその三辺の長さをa,b,cとおいて、面積をSと置くとa^2+b^2+c^2\ge 4\sqrt{3}Sが成り立つ。等号成立条件は\triangle ABCが正三角形であること

同じ誕生日の人とは話がはずみそうな気がするが、別にそんなことはない。

 誕生日のパラドックスとは、多くの人間の直感と反する確率論のパラドックスである。実際に問題としてといてみよう。

誕生日のパラドックス
23人が同じ部屋にいるとする。このとき、この部屋に同じ誕生日の人間の組が存在する確率はいくつか。ただし、人がある特定の誕生日である確率はどの誕生日でも同様に確からしく、閏年などを考慮しないものとする。
人に与えられる誕生日は条件によると365日存在する。ここで等確率の仮定によりどの誕生日も割り当てられる確率は\dfrac{1}{365}である。余事象から攻める。誰も同じ誕生日ではない確率を求める。そのような確率は\dfrac{365}{365}\dfrac{364}{365}\dfrac{363}{365}\cdots\dfrac{343}{365}=\dfrac{{}_{365}\mathrm{P}_{23}}{365^{23}}である。これを開くと \approx0.492703となってこれは求めたい事象の余事象であるので約1-0.492703=0.507297が答えになる。

 この議論を一般化すると次の定理が得られる。

重複確率
k個のものをn個の組に割り振るとして、この割り振りの確率は同様に確からしいとする。割り振りが終わったときに同じ組にいるものが存在する確率はP_{n,k}=1-\dfrac{{}_n\mathrm{P}_k}{n^k}である。ただし1 \leq k\leq nとする

 しかし、1-\dfrac{{}_n\mathrm{P}_k}{n^k}はいささか計算しづらい。ということでこれをうまく近似できるような式を編み出す。

 次の不等式が示せる。

自然対数の不等式

-1< x\log(1+x)\leq xが成り立つ

Proof

g(x)=x-\log(1+x)としてg(x)\ge0を示す。このとき、関数fの提示されている変数での微分をf'と書くことにするとg'(x)=1-\dfrac{1}{1+x}である。x >-1においてg'(x)\ge0\Longleftrightarrow x\ge0であるためx <0ではg(x)は減少、0< xではg(x)は増加する。つまりg(0)が最小値である。g(0)=0より0\leq g(x)が示せた◽︎

 この不等式を用いて\dfrac{{}_n\mathrm{P}_k}{n^k}を評価する。手始めにこの数を総積を用いて変形する。\displaystyle {}_n\mathrm{P}_k=\prod_{k=0}^{n-1}(n-k)と変形できることを利用するとこの数は\dfrac{\displaystyle\prod_{i=0}^{k-1}(n-i)}{n^k}=\displaystyle\prod_{i=0}^{k-1}\Big(1-\dfrac{i}{n}\Big)と変形できる。これに自然対数をとると\displaystyle\sum_{i=0}^{k-1}\log\Big(1-\dfrac{i}{n}\Big)となって、補題の不等式が使える形になった。補題の不等式を適用するとこの式は-\displaystyle\sum_{i=0}^{k-1}\dfrac{i}{n}=\dfrac{k(k-1)}{2n}で抑えられることが分かる。よって指数関数をかませると\dfrac{{}_n\mathrm{P}_k}{n^k}\leq e^{\frac{k(k-1)}{2n}}が導かれる。

 これを重複確率の不等式に直すと1-e^{\frac{k(k-1)}{2n}}\leq P_{n,k}が導かれる。

重複確率の下限
1-e^{\frac{k(k-1)}{2n}}\leq P_{n,k}

幾何分布とソシャゲガチャ

 ソーシャルゲームのガチャで確率1\%と聞くと100回引いたら目当てのものは引けそうなものであるが、この直感は正しいものなのだろうか。

 一回の試行で一定の確率pで起こる現象Aについて、n回の試行でAが初めて発生するとき、その確率は(1-p)^{n-1}pである。n-1Aが起こらないという現象が起こった後にAが起こる確率なので、これは当然である。

 このような離散的な確率の列には名前がついており、幾何分布と呼ばれる。

幾何分布の定義
確率pに対してP(X=n)=(1-p)^{n-1}pで定義される確率の分布Pを幾何分布と呼ぶ

 この確率の列が表すことを自明に言い換えてみると、Aが初めて発生するためにかかる回数の確率を表していると言えるので、Aが発生するために必要な試行回数の期待値はこの分布の期待値を指していると考えられる。

 この分布の期待値は\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}n(1-p)^{n-1}pである。ここでx=1-pと置き換えるとこの和はp\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}nx^{n-1}とかける。

 補題として以下の等式を示す。

補題1
|x| < 1のとき\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}nx^{n-1}=\dfrac{1}{(1-x)^2}

Proof

微分を用いて証明するのが良いだろう。

\displaystyle\sum_{k=0}^{n}x^k=\dfrac{1-x^{n+1}}{1-x}であるので、両辺を微分してやると、\displaystyle\sum_{k=1}^{n}kx^{k-1}=\dfrac{(n+1)x^n(1-x)+(1-x^{n+1})}{(1-x)^2}

n\to\inftyの極限をとってやることで題意は示される◽︎

 補題1から、0 < p < 1のときx=1-pであるため、p\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}nx^{n-1}=p\dfrac{1}{(1-x)^2}=\dfrac{1}{p}が導かれる。

 この期待値の表記がp=1のときでも正しいことはp=1の幾何分布の意味から明らかである。またp=0のときも\displaystyle\lim_{p\to+0}\dfrac{1}{p}=\inftyという右極限的な解釈をすれば、正しいと見ることもできる。

 つまり、1\%=0.01の確率で目当てのものが出るとわかっているときに100回くらいやれば出そうだと思う直感は期待値から見れば妥当だと考えられる。しかし、問題は期待値から外れることも十分に起こり得るということである。

 そこで、期待値からどれくらい平均して外れるのか調べるために分散を計算する。

 \mu=E[X]と置くと、分散はV[X]=E[(X-\mu)^2]というように確率変数のその平均からの二乗誤差の期待値として定義される。これを式変形していく。未証明の事実であるが、E[aX+bY]=aE[X]+bE[Y]が成り立つため、これを利用すると分散はE[X^2-2\mu X+\mu^2]=E[X^2]-\mu^2と変形できる。ここで\mu=E[X]より、V[X]=E[X^2]-E[X]^2とかける。E[X]は先ほど求めたので、E[X^2]を求めれば良い。

 これを直接求めるよりも見通しが良い方法として、E[X(X-1)]が期待値の線形性によってE[X^2]-E[X]に一致するため、E[X(X-1)]を計算するというものがある。

 期待値の定義から、これは\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty} n(n-1)(1-p)^{n-1}pと等しい。x=1-pとおいて余計な部分は全て係数としてまとめると、p(1-p)\displaystyle\sum_{n=2}^{\infty} n(n-1)(1-p)^{n-2}と変形できる。このとき以下の補題を用いる。

補題2
|x| < 1のとき、\displaystyle\sum_{k=2}^{\infty} k(k-1)x^{k-2}=\dfrac{2}{(1-x)^3}

Proof

f(x)=\displaystyle\sum_{k=0}^n x^kと定義すると、f(x)=\dfrac{1-x^{n+1}}{1-x}である。ここで\displaystyle\sum_{k=0}^n x^k2回微分すると、\displaystyle\sum_{k=2}^n k(k-1)x^{k-2}に等しい。また\dfrac{1-x^{n+1}}{1-x}1回微分すると、補題1の証明から\dfrac{1+(n+1)x^n-(n+2)x^{n+1}}{(1-x)^2}となって、もう一度これを微分して整理すると、\dfrac{2+n(n+1)(x^{n-1}-2x^n)+(n-1)(n+2)x^{n+1}}{(1-x)^3}となる。このときn\to\inftyの極限を取ると、これは\dfrac{2}{(1-x)^3}に収束する◽︎

 補題2からE[X(X-1)]p(1-p)\dfrac{2}{p^3}であることがわかる。よってE[X^2]\dfrac{2(1-p)}{p^2}+\dfrac{1}{p}であることが従い、そして分散は\dfrac{2(1-p)}{p^2}+\dfrac{1}{p}-\dfrac{1}{p^2}=\dfrac{1-p}{p^2}と導かれる。

 p=0.01を分散の式に代入すると、9900となって二乗誤差の平均が出てくる。ここでこの9900はあくまでもずれの二乗であることに注意する。元の計算のスケールに戻してやりたかったら、正の平方根をつけてやる必要がある。よって\sqrt{9900}=99.49\cdotsを主体にして考える。

 これが何を言わんとしているかを考えると、これくらいずれていても何ら不思議ではないということだろう。つまりp=0.01のとき期待値は100であるが、200くらいになっても奇妙ではなく、逆に1くらいになっても同様に不思議ではないということだ。以下、まとめ。

幾何分布の期待値、分散
生起確率pの事象の幾何分布P(X=n)=(1-p)^{n-1}pについてE[X]=\dfrac{1}{p},V[X]=\dfrac{1-p}{p^2}である

電圧を加えて電子線を曲げる

 昔の我が家では父がどこからか譲り受けてきたブラウン管のテレビを使っていた。現れる色は古びた写真のよう、ちらちらと画面が瞬いていて、とても今の時代の\mathrm{TV}と比べられるものではない。しかし、そのどこか懐かしく愛らしい、丸みを帯びた画面が今も記憶の片隅にひっそりと息づいている。

 この昔懐かしいブラウン管\mathrm{TV}はどのように動作しているのだろうか。

電子線の偏向とそれを可視化する蛍光板

 中学校の理科の実験でやった人もいるかもしれないが、陰極線に電圧を加えて曲げるという実験がある。これはそれを応用したものである。電圧を極板に加えることで、特定方向の電場を生み出す。そして、電子をその電場に二度くぐらせることで目的の偏向を達成するという仕組みである。目的の偏向を得た電子は蛍光板のある一点にぶつかり、そこが発光するのである。

 この偏向を高速に変化させることで、電子線の向きは滑らかに素早く変化していき、描像ができる。

 詳しく2つの偏向板を見てみよう。重力の影響を無視できるとすると、x,yは等価である。向きの違いがないと言っても良い。なので、電圧V_x,V_yなどは気にせずVとまとめてしまう。2つの偏向板をまとめて議論するのである。

偏向板の仕組み

 下の極板から見た上の極板の電圧をVとおく。極板間距離はdで、板の電子の進行方向に平行な長さはlである。このような偏向板に発生する電場に垂直な向きに速さvの電子が入射される。

 このとき極板間に現れる一様な電場Eについて考えると、+1[\mathrm{C}]の電荷を下の極板から上の極板に移動させて得られるエネルギーはV=-Edであるので、E=-\dfrac{V}{d}である。このとき、電子にかかる力はF=-eE=\dfrac{eV}{d}である。つまり電圧の大きい方に電子が曲がっていく。

 電子の質量をmとおくと、電子についての運動方程式ma=\dfrac{eV}{d}から電子は加速度\dfrac{eV}{md}を電場内で得る。

 速さvで電場に突入しているので、極板に電子が衝突しないとすれば、電子が極板を通り過ぎるまでにかかる時間は\dfrac{l}{v}であり、その間に電子は上向きの一定の加速度を得て、\dfrac{el^2}{2mdv^2}Vだけ移動する。そして極板から出てきた時の電子の上向きの速度は\dfrac{el}{mdv}Vである。つまり、下に見える図のように、極板の間でだけ曲がりその後はずっとまっすぐ飛んでいくような軌道になる。

電子線の偏向

 想像に難くないが、\dfrac{l}{v}を十分に小さくすると、電子はほとんど曲がらずに速度の変化だけを極板の電場で得ることができる。これは2次の微小量の積が0とみなせることによる。実際電子線の曲がりは\dfrac{el^2}{2mdv^2}Vであり、\dfrac{l}{v}を十分小さくすると0と近似できるが速度変化は1次の変化であるので、近似はできない。

極板の大きさに対して十分に速い電子線

 ここからわかることは、十分に速い電子であれば思った通りの速度を与えて電子線の行き先を制御することができるということである。この操作をx,y方向に独立して行うことで、電子をx,y平面上に自由に当てることができる。

 x軸方向の偏向板から蛍光板までの距離をLとおく。電子は十分速いとして良い。この時V_yの電圧のかけられた偏向板では\dfrac{el}{mdv_0}V_yの上向きの速度を得る。V_xの電圧のかけられた偏向板では\dfrac{el}{mdv_0}V_xの右向きの速度を得る。そしてz軸方向の電子の速度は変わらないので、偏向板から出て蛍光板にたどり着くまでは時間にして\dfrac{L}{v_0}かかる。この時、電子は蛍光板の原点から上向きに変位\dfrac{elL}{mdv_0^2}V_y、右向きに変位\dfrac{elL}{mdv_0^2}V_xの点にぶつかる。

 ここで、\dfrac{elL}{mdv_0^2}という定数係数をaとおくと、電子の当たる位置は(aV_x,aV_y)と書き直せる。

 つまり、電圧V_xを横軸、V_yを縦軸にとったグラフを拡大もしくは縮小したものが蛍光板に映し出されるということである。

 例えば以下のような時間発展をする電圧V_x,V_yが与えられたとする。

V-tグラフ。実線はV_xで破線はV_y

 この時、このグラフのV_y-V_xグラフはリサージュ曲線と呼ばれるグラフになり、下図のような概形になる。

V_y-V_xグラフに表れるリサージュ曲線

 よって蛍光板はこの形を拡大もしくは縮小した形に光る。これがブラウン管\mathrm{TV}の原理である。モノクロならばこれでも良いが、実際にはカラーも欲しいので、この機構を\mathrm{RGB}分の3つ用意することになる。

同心球殻コンデンサの電気容量

 同心球殻コンデンサとは中心が一致するような導体球と導体球殻によって作られるコンデンサである。下図のような組み合わせである。

球殻コンデンサの模式図

 内側の球の半径をaとして、外側の球殻は厚みを無視できるほど薄く中心からの距離はbであるとする。また、球殻と球の間の誘電率を\epsilon_0とする。

 このとき、内側の球に電気量Qが与えられているとする。すると球殻の電荷が移動することで、球殻には-Qの電気量が残る。さて、このとき、九の中心からa\leq r\leq bだけ離れたところの電場を計算しよう。ガウスの法則を利用する。

 rだけ離れた部分の表面積は4\pi r^2であり、これを貫く電気力線の本数は\dfrac{Q}{\epsilon_0}本である。よってrだけ離れた部分の電場の強さはE=\dfrac{N}{S}=\dfrac{Q}{4\pi\epsilon_0r^2}である。また電場は中心から離れていく方向に生まれている。つまり、次のような状況になっている。

球殻コンデンサの電気力線の図示

 このとき、外側の球殻から見た内側の導体球の電圧は積分によってV=-\displaystyle\int_a^b\hspace{-2mm}E\mathrm{d}rと求められるため、V=\dfrac{Q}{4\pi\epsilon_0a}-\dfrac{Q}{4\pi\epsilon_0b}=\dfrac{Q}{4\pi\epsilon_0}\Big(\dfrac{1}{a}-\dfrac{1}{b}\Big)が従う。

 電気容量Cを求めると、定義よりC=\dfrac{Q}{V}であるため、C=\dfrac{4\pi\epsilon_0ab}{b-a}が導かれる。そして、この電気容量は定数であるので、QVに比例することがわかる。このあたりのことは平行板コンデンサの記事でも触れた。

平行板コンデンサの理論

 平行板コンデンサとは金属平板を二枚平行に向かい合わせることで電荷を貯められるようにした素子のことである。この記事では以降、平行板コンデンサのことを単にコンデンサと呼称する。

平行板コンデンサの模式図

 このとき、コンデンサにかけられている電圧Vに対する貯められている電気量Qの比を電気容量と言ってCで表す。つまり、C\stackrel{\mathrm{def}}{=}\dfrac{Q}{V}と定義する。

 さて、コンデンサの電気容量は近似的にそれに備わる物理量を使って求めることができる。今回はそのことを示そう。

平行板コンデンサの電気容量式
C=\dfrac{\epsilon_0 S}{d}

 第一に行うべきことは、極板が作る電場を求めることである。ここで、極板の厚みは無視して良いものとする。実用上も大抵はかなり薄いので問題ないだろう。また、電気力線が若干極板の外側に漏れ出るがその影響も無視する。このとき、上の極板について電気力線を考えると、下図のようになる。

電気力線の気持ち悪い図

 このとき、上に伸びている電気力線の本数は下に伸びている電気力線の本数と対称性によって等しいため、ガウスの法則から電気力線の総本数が\dfrac{Q}{\epsilon_0}であることから、上に伸びる電気力線の本数は\dfrac{Q}{2\epsilon_0}本であり、それは下に伸びるものでも同様。

 下の極板についても同様に考えると、-Qの電荷を持っていることにより、電気力線は逆向きになっている。つまり、下図のようになっている。

下の極板の電気力線図

 この二つの電気力線を組み合わせると、二つの極板の合成電気力線が得られる。

極板を合わせた電気力線

 極板間の電気力線の本数は\dfrac{Q}{\epsilon_0}本となる。電場の大きさは電気力線の密度なので、電場の大きさE\dfrac{Q}{\epsilon_0 S}となる。

 コンデンサの作り出す電圧の大きさを考える。下の極板から上の極板まで+1の電荷を移動させるときの電圧の変化を考える。電場は極板間であればどこでも一定であるので、V=Edである。よってV=\dfrac{Qd}{\epsilon_0 S}である。このとき\dfrac{Q}{V}=\dfrac{\epsilon_0 S}{d}と変形できるため、C=\dfrac{\epsilon_0 S}{d}である。

 つまり、電気容量は極板の面積に比例し、極板の距離に反比例する。